2019年05月22日

POPは、売り込み上手な店員。

POP広告。日本語で“販売時点広告”と訳されるこの広告は、大変重要な役割を果たしている。何も書いていない売り場で、商品に興味を持っていただき、手に取ってもらうことは、なかなかできない。とても優れたディスプレイができていたとしても、POP1つに負けることがある。つまり、言葉で語りかけるからである。

何か書いてあると、客はつい読んでしまう。そこに、気の利いた言葉や目を引くデザインがあれば、ディスプレイよりも効果的なPRができる。POPライターという、専門の職業があるくらいなので、その重要性がわかるだろう。

このPOPを自店で制作、もしくはプロに頼んでオリジナルを作って、うまく活用している店は、繁盛している。

手書きの広告には、あたたかさがある。人を惹きつける魅力がある。もちろん、ある程度デザインされたものがいいのだが。たとえ、字が汚くても、読みやすくて、丁寧に書かれたものなら、客は読んでくれる。

商店街の古くからある店などでは、このようなPOP広告はたくさんある。だが、どの店もその扱い方に気遣いがない。やたらとたくさんぶらさげたり、とにかく書けば良いという感じで、汚いものが多い。やはり、それなりにPOPの作り方がある。「POPの作り方」というような本も出ているので、参考にして欲しい。

デザイン面に注意することはもちろんだが、もっとも大切なのは、言葉である。客が手に取りたくなるようなフレーズ。

単に「キリリッと決めるフレッシュマンスーツ」と書いても、客は興味を示さない。「商談成立・好印象スーツ」や「やる気がムクムクわいてくるスーツ」と書いた方が、客の心を捉える。

「冷麺、始めました」より、「爽やかなすっぱさが美味しい季節になりました。冷麺、ご注文ください」の方が、暑くなる頃の客にはアピールできる。

このようなフレーズを書いたPOP広告は、そこにあるだけで、立派な営業マンになってくれる。上手に売り込んでくれるのである。やる気の無い店員より、よほど役に立つし、経費も掛からない。

だが、フレーズはじっくり考える必要がある。注意することは、客が商品・サービスを利用した時をイメージしやすい言葉で書くこと。ただ、それだけ。できるだけ具体的な言葉がいい。

多くの店が、メーカーからもらったPOPやポスターを使っている。誰もそんなものは見ない。店のイメージを損なうだけである。どこの店に行っても、同じものがある。これでは、その店らしさが出なくなる。

客に伝えたい言葉を、心を込めて書こう。きっと、見てくれる。きっと、手に取ってもらえる。

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2019年05月15日

営業時間を変えてみると……。

商品やサービスには自信がある。何も問題はないはずだ。でも、客が来てくれない。ということは、店の立地条件や営業時間に問題があるのかもしれない。店の場所を移動することは簡単ではないので、まずは営業時間を見直すことを考えてみよう。

開店は10時? 閉店は18時? あなたの店の営業時間とターゲットはマッチングしているか?

主婦が相手だから昼間の営業でいいんだ、とは考えていないだろうか? 今の時代に、いわゆる主婦という存在はごく少数。正社員やパートで働く主婦の割合が、かなり高い。ライフスタイルが変わり、「生活の時間割」が変化しているということを認識しなければならない。

スーパーへ行くとよくわかるが、夕方から夜にかけてが来店のピークになっている。ということは、主婦を相手にした店は、昼間ではなく、夕方から夜の営業に力を入れるべきである。18時に閉店している店なら、20時21時まで営業時間を延長するのである。

夜くらいのんびりしたい、ゆっくり風呂に入りたい、などという甘い考えは捨てよう。朝ゆっくりする生活だってある。売り手の都合で決めた時間では、CS(顧客満足)経営はできない。客が来店しやすい時間帯を営業時間にすることが大切である。

いま、24時間営業のスーパーが、その必要性について話題になっているが、売り上げを伸ばしている店は多い。これはどういうことだろう。ライフスタイルの変化で、夜、外出する人が増えているからである。22時〜2時くらいの来店が結構あると言う。目的があって行く人ももちろん多いのだが、「暇つぶし」の人も多いのである。“縁日の冷やかし”と同じである。

ではなぜ、スーパーはこのような客を狙ったのだろうか。一見、夜も開けていれば、電気代も人件費もかかるから元が取れないのではないか、とも思える。だが、そうではない。深夜に営業したからといって、家賃が増えるわけではない。営業していないからといって、冷蔵・冷凍の電気を切るわけにもいかない。だったら、開けておいた方が、人件費や光熱費の増加を差し引いても、全体の利益は上がるというわけである。コンビニにも対抗できる。

さらに、利点がある。夜は昼より暇なので、この時間帯を使って、店内の清掃や商品の整理、売り上げの集計、伝票チェックなどが集中してできるのである。昼間は販売に集中すれば良い、ということになる。

理髪店にも、こういう傾向が見られる。深夜まで営業して、会社帰りのサラリーマンに支持されている店がある。これまで、散髪といえば、休みの日に行かざるを得ないというのが、サラリーマンだった。しかも、土日は混雑して、待ち時間も長く、そのために1日を潰してしまっていた。

休みの日は、うちでのんびりしたい、遊びに行きたい。そう思っているサラリーマンが多いのに、理髪店は昔からのスタイルで営業し続けている。組合に入っているから、月曜日は休みで、営業時間もほぼ同じ。客のことなど何も考えていない。

いまだにこんな店が多い。そんな組合は、やめてしまえば良い。客のことを考えれば、夜遅くまでの営業は当然の流れである。売り上げ向上のチャンスなのである。

他にも、営業時間を変えれば来店促進できる店はたくさんありそうだ。

たとえば、薬店。深夜開いていれば、どれだけ助かることか。それを望む声が多いから、コンビニで薬を置き始めたのである。どうして薬店は、このチャンスを逃すのだろうか。ハッキリと需要が見えているのに。

化粧品店だって、仕事帰りの女性を狙えばいい。化粧品を買い忘れたからといって、次の休日までは待てない。女性にとっては、大変な問題なのである。

雑貨店・ギフトショップ・花屋だって、考えられる。“プレゼントを買い忘れた”“買う時間がなかった”という人は結構いる。特に花屋は、若い男性をターゲットに考えれば、深夜営業は成り立つ。プレゼントは買えなくても、女性には“花をあげる”という手がある。

このように、営業時間をずらしたり、延長したりすることで、客本位の店になることができるのである。また、客層を広げることもできる。あなたの店の営業時間をよ〜く考え直して欲しい。

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2019年05月08日

笑顔と気配りで、繁盛店に。

自宅から車で30分ほどのところに、中華料理店がある。カウンター10席、3〜4人が座れる座敷2つほどの小さな店。ごくごく一般的な町中の中華屋である。ラーメン、ギョウザ、チャーハン、酢豚、八宝菜など、けっして高級中華ではないメニューの店。

ここがやたらと混んでいる。昼は11時過ぎから、夕方は5時くらいから混み始める。店の前は、車や自転車がいっぱいになる。どうして、これほどまで流行っているのだろうか。

「超」がつくほど美味しいから? いや、味は中の上くらい。うまみ調味料(化学調味料)も使っている。高級な味でも、上品な味でもない。確かに、この地域では一番美味しいかもしれないが。だが、それだけでは繁盛しない。私も何度か足を運んだが、その秘密はすぐにわかった。

従業員の応対である。

中に入ると、“いらっしゃいませ”という明るい声が、店主も含めた5人の従業員全員から聞こえてくる。思わずこちらから“こんにちは”と言ってしまう。

すぐに、店を仕切っている若い女性が席へ案内する。と言っても、狭い店なので、手で招いて“こちらにどうぞ”と言うだけだが。

すると、違う女性が、すぐによく冷えた水を出してくれる。そこで、“ご注文は?”などとは聞かない。“お決まりになりましたら、お声をかけてください”とも言わない。

だが、注文していないにもかかわらず、まだ小さかった息子の前には、子供用の碗とスプーンを用意してくれた。なんて気の利く従業員なのだろう。

メニューを選んで、注文しようとしたその瞬間、まさに声をかけようとした時である。“お決まりですか?”と聞いてくれたのである。この女性は、こちらの動きをちゃんと見ている。あまりにもタイミングが良い。見事としか言えない。だから、“お声をかけて”とも言わなかったのである。

しかもこの女性、ものすごくいい笑顔なのである。失礼ながら、美形でもないし、ハッキリ言って身体も大きいし。でも、とんでもない笑顔なのである。変な言い方だが、「悩みは何もないのか」と思えるくらいニコニコしている。

この笑顔である、客商売に必要なのは。この女性を見ているだけで、こちらまでニコニコしてしまう。本当のところはわからないが、作られた笑顔には見えない。

私たちは、カウンター席にいたのだが、注文してしばらくした時、座敷の客が帰った。その時、すかさず店を仕切っている女性が、やはり笑顔で、“あちらの席に替わりませんか?”と声をかけてくれたのである。けっして丁寧な言葉ではないが、家族連れなので、気を遣ってくれているのである。私たちは移動した。

店にとっては、とても面倒なことである。そのままなら、片づけも慌てなくていいのに、私たちを移動させるために、すぐにやらなければいけない。テーブルの水も運ぶ必要がある。だが、ここの女性たちはニコニコと、その作業をこなしている。

こんなことをされると、客としてはとても感動する。ゆったりと食事できる、ということを、ことさら嬉しく思うのである。最初から座敷に座っていたら、何も感じなかっただろう。自分たちが、とても大切にされている、と感じる。

この店は、客を本当に大切に思っているのだろう。従業員の応対を見ていると、自然にそれができている。

最近、こんな店はなかなかない。高級店ではあったとしても、それなりに高い金が必要である。それに、笑顔も“ほどほど”でしかない。

多くの店が、店の都合ばかりを考えて応対している。接客しやすい席から埋めようとする。手間をかけないようにするのである。

途中で席を替わらせるなんてことは、言われない限りしない。そんな店が、繁盛するわけがない。しかも、こんな店には決まって笑顔がない。

笑顔がない、気配りがない………繁盛はない!

私は、この中華料理店のファンである。あの笑顔を見たいがために、足を運ぶ。

posted by 佐藤きよあき at 10:36| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月01日

店が汚れているのは、「おもてなしの心」がないから。

自宅に来客がある時は、あなたはまず何をするだろうか。部屋を片づけたり、掃除したり、玄関を飾ったりするのではないか。少なくとも、客の見える場所だけでも気を遣うはずである。これと同じことを店でもやっているだろうか。

繁盛店と不振店の差は、こんなところにも表われる。繁盛している店は、いつも綺麗に掃除されており、客が気持ちよく過ごすことができる。ダメな店は、決まって手を抜いている。

店を運営する上で大切な要素として、必ず「クレンリネス」という言葉が出てくる。店を隅々までピカピカに磨き上げる、という意味の言葉なのだが、これを忘れている店がどれほど多いことか。

店の汚れは、経営者の「心」を表わしている、とさえ言われる。客を大切に考えていない証拠である。特に飲食店は、この「クレンリネス」を大切にしなければならない。不潔な飲食店など、あってはならない。

テーブルや椅子が汚れている。カウンターにも油汚れが。不要なものが積み上げられている。床にはゴミや料理のかけらが落ちている。窓ガラスは汚れて曇ってよく見えない。コップには脂がついている。

こんな店を利用した人が、また来たいと考えるだろうか。できるだけ清潔なところで食事したい、と思うのが人の心理である。気分よく過ごしたいのである。もし、味が良くても、清潔感がなければ、人はマズいと感じる。雰囲気も味のうちなのである。

一部のラーメン店や中華料理店などで、汚れているのに流行っている店はあるが、それは、例外中の例外。汚いことに無頓着な人というのはいるものである。その店の味と、無頓着な人がまわりに多くいたということが、うまくマッチングしたのだろう。別に、汚いからといって、繁盛しているわけではない。

クレンリネスについては、老舗がよい手本になる。建物が古くなっていても、手入れが行き届いており、清潔感があり、そこにいるだけでも気持ちのいいものである。

毎日キチンと掃除をする、という基本を徹底しているからこそ、できることである。長年の小さな積み重ねが、老舗を創り出しているのである。そこには、「おもてなしの心」がある。客を大切にする。これを忘れた店は、老舗にはなり得ない。

では、クレンリネスを徹底させるには、何をすればいいのだろうか。一番大切なことは、経営者を筆頭に、スタッフ一人ひとりがクレンリネス意識を持って、客を迎えることである。

スタッフには、なぜ掃除が大切なのかをキチンと教えることから始める。本来の仕事ではないから「イヤイヤ仕事」になってしまうことが多いのだが、この意識を変えさせる必要がある。

店が汚れていたら、客はどう感じるのか。綺麗にすることで、何が変わるのか。などをかみ砕いて話してあげることが大切である。

また、清掃マニュアルも必要となる。これは、個人個人でレベルの違いがあってはならないから。いつも同じレベルで清潔感が保たれていることが重要なのである。

●掃除のやり方を統一し、●掃除道具はキチンと揃え、●計画的に実行する。そのためのマニュアルなのである。

店全体を毎日隅々まで磨き上げることは、なかなか難しいので、特に客の目につきやすい場所を重点的にやるようにする。1日に1度でいいところ、1日に何度もしなければならないところ、週に1度でいいところ、など、細かく分類しておいて、効率的に行うようにする。

特に大切なのは、トイレ(化粧室)。どれだけ粋な店、綺麗な店、美味しい店であっても、トイレが汚れていては、客の評価は最低なものとなる。トイレが店の顔にもなり得るのである。見えにくいところだからといって、手を抜いては、客に店の「格」を見抜かれてしまう。経営者の心まで見抜かれる。

汚れた店に、質の高い商品やサービスを期待することはできない。客は、そのことをよく知っている。

posted by 佐藤きよあき at 14:45| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月24日

お客さまの心理を季節ごとに読む。

まだ寒さ厳しい冬だとする。だが、もしあなたが店をやっているなら、もう心は春でなければいけない。百貨店を見て欲しい。店内はもちろん、ショーウインドウは春の演出に変わっている。これは、心理的季節を先取りしているのである。

本来の季節より1〜2ヵ月早く、心の中にやって来る季節感のことである。特に日本は、季節の移り変わりがハッキリしており、暮らしにさまざまな影響を与えている。

春になれば、花見や山菜。夏には、海や花火。秋は、行楽やスポーツ。冬は、スキーや正月。このように、四季折々にいろんな生活・イベントがあり、その時々で気持ちや行動が変わってくる。

店を運営する上では、この心理的季節に合わせた演出が不可欠なのである。客は、目に見えない心理的な影響に動かされている。その要望に応えるには、四季を感じさせる演出を店舗・コーナーのすべてに統一することが肝心である。接客の際にも、季節感のある話かけをしよう。

個人商店では、一年中同じ商売・同じ演出をしているところが多くあるが、これでは、客がその店に足を運ぶ「楽しさ」がない。すると、必要な時にしか行かなくなる。

販売促進だけが、客を呼ぶ方法ではない。商品やサービスを買う場所であるとともに、“楽しむ場”であることも忘れないようにしなければならない。

ブティックや電器店、家具店などでは、比較的早い時期から季節の演出を取り入れるが、他業種の店であっても、ぜひやって欲しいところである。

●理美容室なら、店内の演出はもちろん、春の装いに合う髪型を提案する。
●スポーツ用品店なら、春から始めるジョギングウェア。
●雑貨店なら、春のお部屋に素敵アイテムを。
●カメラ屋なら、桜がキレイに写せるカメラセール。
●変わったところで整骨院なら、“緊張の季節です。からだのバランス整えます”などという方法も考えられる。

このように、客の季節ごとの心理を読めば、演出だけでなく、売り方もひと工夫できるようになる。

それでは、季節をイメージするキーワードを掲載しておくので、演出や売り方のヒントを探ってみて欲しい。

■初春から初夏:
人びとの心は高揚し、躍動感にあふれ、希望に満ちてくる。

・希望・期待・躍動・緑・青・卒業・入学・進学・お花見・ハイキング・散歩・ドライブ・大地・草・芽生え・森・空・花・梅・桜・菜の花・チューリップ・自然・海・山・丘・牧場・しょうぶ・ジョギング・テニス・小川・どじょう・おたまじゃくし

■初夏から初秋:
積極的な活動を経て、ややロマンチックな心変わりをする。

・行動的・積極的・青・白・オレンジ・海・浜辺・太陽・ヨット・登山・釣り・ボート・キャンプ・自然・涼・風鈴・朝顔・ゆかた・下駄・堤灯・盆おどり・花火・金魚すくい・夜店・夏休み・帰省・みやげ・ふるさと・旅行・避暑

■初秋から初冬:
人びとの心は内へ向かうようになり、やすらぎや落ち着きを求めるようになる。

・やすらぎ・落ち着き・暖かさ・静けさ・女らしさ・やさしさ・枯れ葉・落ち葉・木もれ陽・赤とんぼ・すすき・十五夜・読書・音楽・虫の声・月・柿・おにぎり・焼きいも・さんま・紅葉・きのこ・体育の日・スポーツ・七五三・実りの秋・美術館・夕日・いろり・語らい

■初冬から初春:
静かな刻をすごし、深くものごとを考えるようになる。

・こげ茶・煉瓦色・赤・アットホーム・家庭・こたつ・暖炉・鍋物・コート・手袋・雪・雪だるま・スキー・温泉・ボーナス・大掃除・障子・小春日和・百人一首・帰省・北国・田舎・門松・正月・たこあげ・はねつき・お年玉・琴・春の七草・豆まき・雪どけ

これら季節のキーワードをヒントに、店の演出や売り方のイメージをふくらませて欲しい。さらに、独自のアイデアを加えることで、おなたの店の“自分らしさ”が演出できる。

posted by 佐藤きよあき at 10:32| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月17日

店主のための「事業計画書」作成のすすめ。

「事業計画書」は、開業前に作成するものだ、と思っていないだろうか。実際はそうなのだが、今回は、すでに店を持っている方にも事業計画書を作って欲しい、という話である。もちろん、これから開業する方もぜひ作って欲しいのだが。

店を持っている方で、開業前に「事業計画書」を作ったという方は少ないかもしれない。それは、公的機関から融資を受ける時以外は、法的に必要ないからである。また、親から後を継いだ方も多いかもしれない。

なぜ、私が計画書の作成を奨めるのかというと、自身の店を見直して欲しいからである。モノが売れないから、販売促進を考えたい。人が来ないから、もっと効果的な宣伝をしたい。そんな思いを抱いている方に、もう一度、店のコンセプトを考え直してもらいたいのである。

●事業の概要(何の店か)や目的、目標は、ハッキリとしているか?
●コンセプト(基本的な考え方)はしっかりしているか?
●ターゲットは明確になっているか?
●商品戦略は?
●セールス戦略は?
●プロモーション戦略は?

これらのひとつひとつに答えることができるだろうか。失礼な言い方だが、ほとんどの方が答えることができないのではないだろうか。

開業当初は、しっかりとした考え方でやっていたかもしれないが、月日が経つにつれて、商品も変わり、客層も変わり、自分の思っている方向へ向かっていない場合もある。

たとえば、理容室。何の疑問もなく、中高年男性がターゲットだと考えているかもしれないが、本当にそれで合っているだろうか。現在、カットだけ理容室に行く女性が増えていることを知っているだろうか。そんなターゲットを考えたことがあるか。

たとえば、スポーツ用品店。スポーツをする人をターゲットにしているが、本当は、これからスポーツを始めたい
と考えている人の方が多いのではないだろうか。

このように考えていくと、店づくりも販売促進も変わってくるはずである。そこで再度、店の総点検の意味でも、計画書づくりをやってみて欲しい。

では、事業計画書は、何のために作るのだろうか。まずは、自分の考えをまとめ、事業としての可能性をより高めるためである。あらゆることを考えたつもりでも、必ず何かを見落としているもの。これを具体的に紙に書き出してみると、まだまだ考えなくてはならないことがたくさんあることに気づく。

すべてをメモ書きしているから大丈夫だという人でも、それは単なる憶え書き、アイデアの羅列にしか過ぎない。それぞれのつながりがなく、つじつまの合わないものになってくる。

これらを整理・整頓していくうちに、抜けている細かなことにも気づき、計画がより具体化していくのである。そして、次にやるべきことが手に取るようにわかり、確実な一歩を進んでいくことができるのである。頭の中も整理され、事業の輪郭がハッキリと見えてくるようになる。すると、事業の可能性もさらに高まってきたと言える。

また、事業が成功するかどうかは、計画の裏づけが取れているかどうかで見極めることができる。それは、計画書を作る段階で、次の5つのポイントが押さえられているかどうかである。

■事業の内容がどれだけ具体的に、しかも明確に書かれているか。夢ばかりを語っていて、細かなことが書かれていない計画書が結構ある。事業計画書は、一人歩きしても良いものでなければいけない。誰が見ても、細かなことがわかるものにしよう。

■事業が、社会の中でどれだけ重要な役割を持つものであるか、ということを訴えることができているかどうか。たとえ小さな店であっても、社会に対して価値を提供するものでなければならない。社会的に価値がなければ、誰も振り向いてはくれない。

■同種の事業とどこがどう違うのか。ここが売りだ!と言える特徴は何かを明確にアピールできているかどうか。商品やサービスだけではなく、売り方や流通システム、アフターフォローなど、他とは違う何かを持っていなければならない。

■確実に収益を上げる見通しがあるのかどうか。絶えず収益を上げられるシステムづくりをしておくべきである。投資ばかりを続けることはできない。社会的価値があり、差別化の要素を持っているのなら、収益を上げることはできる。

■計画の練り上げが必要である。本当にできる、という確信が持てるまで、練られていなければならない。第3者がこれを読むだけで、実現できそうだと思えるレベルになっていることが重要。

これら5つのポイントをしっかりと押さえることが、事業計画書を作る秘訣である。事業の考え方や特徴、強み・弱み、技術・ノウハウなどを論理的に書くことが重要である。自分の考えをまとめるためにも、より良い事業計画書を作り上げて欲しい。

posted by 佐藤きよあき at 11:22| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月10日

いろんな店の良いところ・悪いところ探し。

私が行った店のことを度々書いているが、それは良くない店が多く、気になることばかりだからである。

優れた店にめぐり逢えることは、ごくごくたまにしかないが、そんな店はもちろん繁盛している。可もなく不可もない店はあるが、そんな店は印象に残らない。だが、また行ってしまうかもしれない。

問題は、悪い店。多少良いところがあったとしても、悪いところが多いと、悪い印象しか残らない。二度と行かないし、悪い評判を流してしまうかもしれない。

家族で出かけた先で、ファミリーレストランに入った時のこと。あまり、この手の店に入ることはないのだが、適当なところが無かったので、久々に入ってみることにした。

数年前に入った時の印象は、メニューも幅広く揃っており、味はそこそこ。とにかく安いのが良い、という感じだった。ところが、入ってみると……

メニューを見て、ビックリ。まったく別の店に変わったようだ。これなら、ハンバーグ専門のチェーン店に行った方が良かった、と思うくらいにハンバーグだらけ。大きなメニューの半分は、ハンバーグ。

これは、飲食店がオペレーションを簡単にして、売り上げを伸ばすために用いる方法である。つまり、ひとつの材料でバリエーションを増やし、メニューが増えたように見せると同時に、手間を省くためである。材料のロスを防ぐためでもある。

この方法が悪いというのではなく、この店のやり方がまずいのである。以前は、和風・洋風いろんなメニューがあり、年配の方でも入りやすい店だったのだが、メニューの幅が無くなった。これでは、客層がかなり絞られてしまう。他のメニューは残した上で、ハンバーグのバリエーションを増やしただけなら、問題はなかったのだが。このチェーン店自体が悪い方向へ向かっていることを感じさせる。

この店では、他にも問題がたくさんあった。

オーダーを取りに来た店員が、まったくの新人。「オージービーフステーキを醤油ソースで、味噌汁セットにしてください」。これが、私のオーダー。ゆっくりと話した。

それに対し、“ちょっと、お待ちください”。オーダーの端末機器の操作がよくわかっていない。途中、助けを求める視線でキョロキョロ。30秒以上、あれこれとやっている。やっと近くに上司か先輩かがやって来たので、声をかけ、操作を開始。

その後、口にした言葉は……「オージービーフステーキをスープセットで…」。“どんな耳しとんじゃ”と心で思いながら、「味噌汁セットです」と訂正。おまけに「ソースは何にしましょうか?」。“おまえはなめとんのか”とまたまた心で思いながら、「醤油ソースと言ったけど」。

この店員、間違ったことを謝ろうともしない。だが、この新人を責める気はない。新人ひとりでオーダーを取らせた上司・店長がいけないのである。

途中から横にいた上司も謝罪しなかった。まったく、なっていない。だが、私は口に出しては怒らなかった。馴染みの店や良い店だと感じるところなら、さらに良い店になってほしいという願いから、欠点を指摘するのだが、このファミレスは私にとってはどうでも良い店。二度と行かないだけである。

店の方にわかってほしいのだが、怒ってくれる客はまだ良い。それだけ店に期待しているのだから。だが、だいたいの客は不満を口にせず、二度と来なくなる。言わなければ気づかない店は、どんどん客を失うのである。

食事が終わってトイレに行った。やはり、ダメな店はとことんダメである。小便器がつまり、水が溢れていた。仕方なく個室に入ったのだが、出る時、手を洗おうとしたら水が出ない。外にも洗面があったので、そちらで洗った。どの男性客も同じ行動をとっていた。

誰も店員に伝えようとはしない。店は、このおかしな行動に気づくべきである。何人もフロアを行き来しているのだから、客の動きを見ていなければならない。見ていれば、気づくはずである。

家内もトイレから出て来て文句を言っていた。個室の扉が開きづらかったようだ。こういう故障は、いま起ったことではないはず。店員が使用したり、清掃の時に気づいているはず。どうして修理しておかないのだろうか。

店員の誰もが意識が低い。すべて店長の責任である。大手が運営するチェーン店なのだから、マニュアルは確かなものがあるはず。それができていないのは、店長の能力なのである。また、そんな店長に任せている本部が無能だとも言えるが。

この手のチェーン店は、店の数を増やすことばかり考えて、質の向上を忘れていることがよくある。このチェーン店は、まさにその典型である。

きちんとしたマニュアルがあっても、この程度。個人商店はもっとしっかりと考えておかなければならない。客にとっては、大きな店も小さな店も同じである。できる限り、欠点を少なくする努力を怠らないようにしよう。

そのためにも、いろんな店を見てまわり、じっくりと観察する必要がある。客の立場で、客の目線で、良いところ・悪いところを探してみて欲しい。数多く見てまわれば、それだけいろんなパターンが見えて、自分の店に役立てることができる。

posted by 佐藤きよあき at 10:25| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月03日

お客さまが満足するのは、商品ではなく『付加価値』。

付加価値を高めれば、商品は売れる。非常に単純な「商売の極意」なのだが、これがなかなかできない。わかっていてもやらない店、まったく気づかない店が潰れていくのである。

付加価値を高めるとはどういうことなのか。商品そのものの機能・性能を高めることも付加価値だが、それはメーカーの仕事。飲食店でも、味やメニューで付加価値を生むことはできる。だが、物販の店ではそれはできない。ならば、何によって付加価値を高めれば良いのだろうか。

ずばり、“サービス”である。

変わった雰囲気の店だ、お洒落だ、面白いモノを置いている。これらも付加価値なのだが、飽きられたら、それで終わり。将来もずっと続いていく付加価値とは、サービスのことである。

ここで言うサービスとは、「安くする」「おまけをつける」ということではない。『おもてなしの心』である。“こうしてくれたらいいな”という客の望みに応えること。それを実践して、客の満足度を高めることで、また来たいと思ってもらえるようになる。これが、客の固定化、顧客づくりに繋がるのである。

『おもてなしの心』とは、どんなものなのか。

たとえば、レストランに小さな子どもを連れて行ったとする。よく気がつく店・従業員なら、こちらが頼まなくても、子ども用のイスを運んでくれたり、子ども用の食器やスプーンを持って来てくれる。良くない店は、わかっていても手間を惜しんで、依頼されるまで何もしない。

ここに『おもてなしの心』はない。この小さな心配りが付加価値になるということに気づかず、固定客になってもらえるチャンスを失うのである。

また、天気の悪い日の対応でも、店の差がハッキリとわかる。入口付近が雨で濡れているなら、すべらないようにマットを敷く。濡れた身体を拭くためにタオルを貸す。買い上げ商品を防水性の袋に入れる。客の荷物が多くて、傘が差しづらそうな時には、外に出て代りに差してあげる。こうした心配りをすることで、客は雨の日でも来店してくれるのである。

ケーキ屋で、帰るまでの時間を聞かれるが、これは保冷剤を入れるためである。これを肉屋や魚屋でやれば、
多少遠くの客でも買いに来てくれるのではないだろうか。観光地の市場などでは氷を入れてくれるが、日常買いの客を相手にしている店では、こういうことに気づかない。

こんな心配りもある。

●花屋が、花を長持ちさせる方法を教えてくれたら……。
●肉屋が、安い肉を高級品に変える方法を教えてくれたら……。
●中古車買取店が、車を高く売る方法を教えてくれたら……。

ちょっと考えると、店にとっては不利になるのではないかと思われるサービスだが、客は確実に、この店のファンになる。他の店を見なくなるのである。

この心配りが、固定客を創り出すのである。『おもてなしの心』で接すれば、客は店を信頼し、「この店は私を大切にしてくれている」という共感が生まれる。これが付加価値である。

どこに行っても同じような商品ばかりの時代に“勝ち残る”手立ては、付加価値である。「生き残る」ではなく、「勝ち残る」。この付加価値サービスが「小さな心配り」から始まることをつねに頭に入れ、客を知る努力、プロとしての勉強、他店とは違う自店らしさの創出を心がけるようにしなければならない。これが、「商売の極意」なのである。

posted by 佐藤きよあき at 10:38| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする