2018年05月23日

世の中は、「鬼平犯科帳」を求めている。

かなり以前、テレビで放送されていた時代劇「鬼平犯科帳」。いまだに、地上波、CS、BSで、再放送され続けている。なぜ、それほどまでに人気があるのか。その魅力とは?

火付盗賊改方・長谷川平蔵の悪党を許さぬ姿勢がウケているのだが、加えて、情緒たっぷりな江戸の風物詩や当時の食文化、美しい風景、そこに生きる人びとの人情を見ることができるからでもある。そこにファンは魅了されているようだ。

何れも現代にはないもの故に、人びとは惹かれるのかもしれない。

正義が通らない世の中。
便利さのために忘れられた風情。
偽装や薬漬けの見ため重視食品。
ポイ捨て、不法投棄で汚れた街。
自己中ばかりのギスギスした人間関係。

そんな現代に疲れている人たちが、「鬼平犯科帳」に夢を見ているのだろう。

この人気時代小説をテーマにした、パーキングエリアがある。

NEXCO東日本・東北自動車道羽生パーキングエリア(上り線)に、江戸の世界観を、時代考証に基づいた街並みや建物の意匠などで表現した「鬼平江戸処」という施設を数年前に作った。

長谷川平蔵の生きた江戸を再現するために、建物から小物類に至るまで、民俗学者が監修し、江戸の町並みをリアルに作り出している。鬼平ファンならずとも、多くの人が行ってみたいと思うだろう。

また、鬼平に限らず、いま江戸時代に注目が集まっている。江戸の暮らし・文化を紹介する番組や雑誌も増え、興味を持つ人が増えている。

江戸時代は、浮世絵、歌舞伎、長唄、洒落本、花見、花火といった、楽しく愉快な文化が芽生えた時期でもある。寿司・天ぷらなど、日本を代表する食文化も広まった。非常に興味深く、面白い時代である。誰もが憧れてしまうだろう。

ここに、ビジネスチャンス。

先のパーキングエリアのように、江戸をテーマにした施設や店を作れば、注目されることは間違いない。日本の古き良き文化の再現は、人びとにしばし夢を見せることができる。

「ディスカバー江戸」。疲れた時代の癒しビジネスとなる。

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2018年05月16日

「萌えキャラ町おこし」を地域住民は喜んでいるのか?

事のはじまりは、4コマ漫画から発展したアニメ「らき☆すた」に登場した、実在する神社である。女子高生の学園生活を描いた内容で、埼玉県久喜市に実在する鷲宮神社が、ファンの注目を浴びるようになる。

この神社が、「らき☆すた」人気に便乗したことをキッカケに、町全体が「らき☆すた」による町おこしに力を入れ始めた。これが、「萌えキャラ町おこし」の起源だと言える。

漫画の人気もあって、ヲタクだけではなく、女の子たちもこの町にやって来るようになった。地元では、「らき☆すた」グッズや土産物の販売、婚活イベント、スタンプラリーなども行われ、その経済効果は数十億円とも言われる。

関連商品を扱う商店や飲食店は客が増え、“らきすた様々”と言ったところか。町おこしの成功事例として、度々マスコミにも登場するようになった。

だが私は、これを町おこしの成功事例と呼ぶには、少々疑問を持っている。

町おこしとは、地域の活性化のこと。そこに住む人びとが、豊かで楽しく、生き生きと暮らしていける環境を創ることである。そして、誇りを持って、他所の人に町を自慢できることである。

この町の人びとは、「らき☆すた」の舞台であることを自慢しているだろうか。そもそも「らき☆すた」を読んだこと、観たことはあるのだろうか。

人気があるから、便乗しているだけではないのか。人が集まれば、それが町おこしだと錯覚しているのではないか。

喜んでいるのは、神社・商店・飲食店だけである。だが、それは、儲かるようになったから、ちょっと顔がほころんでいるに過ぎない。本当の笑顔になっているわけではない。

何の恩恵も受けていない住民は、若い女性のキャピキャピ声が騒々しいと思っているかもしれない。不気味にも見えるヲタク軍団を怖がっているかも。

特に中高年からすれば、理解の範疇を超えた、わけのわからない“萌えキャラ”とやらが町に氾濫し、別世界の生物が、自分の家の前をウロウロしているのである。喜ばしいことでは、まったくない。

住民の喜ばないことを町おこしとしてやっても良いものか。

キャラクターによる町おこしを否定するわけではない。

兵庫県・宝塚市の手塚治虫。
鳥取県・境港市の水木しげる。
宮城県・石巻市の石ノ森章太郎。

これら漫画家の生まれた故郷が、その人物や作品をテーマに町おこしをしているが、誰もが知る偉人とも言える人たちであれば、住民も誇りを持って、自慢できるのである。

だが、萌えキャラにはその力が無い。一部の人間が喜んでいるに過ぎない。

確かに、ヲタクやマニアを相手にするビジネスは、手堅い面もある。萌えキャラをあしらったお米が売れたり、ボディに萌えキャラがペイントされたタクシーに人気が集まったり。価格を高く設定しても、売れる可能性が高い。ビジネスとして考えるなら、戦略の柱とすることもできる。

だが、町おこしには向かない。住民のほとんどは、ヲタクでもマニアでもないので、「萌えキャラの町」に愛着を感じることはない。自慢することもない。

住民が笑顔にならない町おこしは、やるべきではない。

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2018年05月09日

コンビニは地域の救世主となるか?

スーパーマーケットの業績は頭打ちだが、コンビニエンスストアはまだまだ伸び続けている。大型スーパーの近くであっても、地方都市であっても、コンビニは次々に出店する。

なぜ、これほどまでにコンビニは増えていくのか。お客さまを取り合って、潰れはしないのか。

その秘密は、コンビニの商圏にある。半径500m。1店舗につき、こんな小さな商圏で商売が成り立つ。もちろん、周辺人口によっても変わってくるが、概ねこの程度の商圏で、利益を上げることができる。

つまり、地域密着型商店の見本のような存在である。歩いて行ける距離にあり、食料品、日用品、酒、ギフト、雑誌を売っている、便利なお店である。

それだけではない。公共料金の支払い、荷物の送付・受け取り、チケットの購入、コピー、デジカメプリント、音楽のダウンロード、ATMなど、生活に必要なサービスがほとんど揃っている。近くにコンビニさえあれば、特に不自由のない生活ができる。

最近は、小分けした野菜やひとり分の惣菜などが充実して、高齢者にもよく利用されるようになった。スーパーの撤退によって、買い物難民になっている人たちにとっても、有り難い存在となっている。

コンビニのような“何でも屋的商店”は、かつて日本中にあり、地域の人びとに愛されていた。しかし、スーパーの台頭で姿を消していった。

田舎にはまだまだ残っているが、高くて品揃えも悪いので、車で遠くのスーパーに行くことが多い。

コンビニとの違いは、価格、サービスの種類である。前述したように、コンビニはあらゆる機能を持ち、非常に便利。

価格においても、大量仕入れで安くなっている上、PB商品を増やすことで、スーパー並の価格で提供している。“便利この上なし”といったところか。

日常の買い物に苦労している人は多い。特に高齢者はそう。そんな人たちにとって、コンビニはまさに救世主。生きることを支えてくれている。

ローソンのキャッチフレーズである「マチのほっとステーション」が、ずばり的を射ている。今後ますます、そうなっていくだろう。

欲を言えば、山奥にもコンビニを出店してもらいたいところだが、どう採算を取るかが問題だ。

少し前に話題になったが、郵便局との合体型のように、複合的な収入確保が必要となる。が、できないことではない。

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2018年05月02日

「脱・中国人」の道を探れ!

「アジアの人びとを呼び込め」と、観光立国を目指す日本。国内消費が冷え込んでいるいま、海外からの“消費者”をアテにするのも無理のないこと。

秋葉原、銀座、各観光地などには、外国人の姿が増え、思惑通りお金を落としてくれている。

だが、その約3割は中国・台湾からの来日である。急成長した中国経済で成功した人びとが、「ショッピング&観光」で、こぞって日本を訪れている。

約3割が中国人というところに、大きな問題が潜んでいる。

現在の日本と中国の間には、数々の問題があり、ことあるごとに、人びとの往来が休止する。銀座・秋葉原から、中国人の姿が消えてしまうのである。

つまり、お客さまとしての中国人は、非常に不安定な客層だと言わざるを得ない。購買意欲が高く、お金を持っているのだが、突然来なくなることを考えると、アテにできないお客さまである。中国人が来なくなって、閑古鳥が鳴いているお店もたくさんある。

「脱・中国人」を考えるべきである。

中国人をアテにした観光立国では、先がまったく見えない。政府・行政に踊らされた観光地やお店では、自分たちの進むべき道を見誤ったと反省するしかない。ここで、軌道修正すべき。

他国の人にアピールするのか。それとも、本来の姿に戻って、日本人を中心に考えるのか。ハッキリとした意志を持たなければならない。

もし、他国の人を選ぶのなら、親日の国に強くアピールする必要がある。「日本が大好きだ」と言ってくれる国の人びとに。

日系企業に勤め、日本製品を使いながら、日系企業・スーパーを破壊し、日本製品を強奪するような人びととは、距離を置くしかない。

中国との関係が今後改善するとは到底思えない。将来を考えるなら、「脱・中国人」を選択すべきである。

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2018年04月25日

チャンスを掴め! 路上販売は商いの原点。

東京のオフィス街では弁当などの路上販売が増え、その実態調査の結果、規制の動きが出てきた。食べ物を売る以上、当然ルールを設け、守らせなければならない。

だが現在、その場で調理する屋台に比べ、路上販売は出店の手続きが簡略化されている。東京都の場合、保健所に届けるだけで営業できてしまう。どんな場所で作られ、どんな衛生管理がなされているかのチェックは甘い。

これは、大いなる問題。ここは、厳格な審査を行うべきである。だが、がんじがらめな規制では、商売を始めたいと思う人をつまずかせてしまう。審査は厳しくしても、手続きは簡単でなければならない。

いま、起業を考える人は増えている。そんな人たちにとって、少ない資金で始められる路上販売は、羽ばたくチャンス。夢への架け橋である。努力とアイデアで、駆け上がることができる。

最近の屋台や路上販売を見ていると、実にユニークで楽しい。どれを食べようか、非常に迷う。縁日のようなワクワク感がある。

その昔、露天商・行商と呼ばれる人たちが、同じ場所に集まると、そこには多くの人びとが押し寄せていた。そこには、賑わいが生まれ、街が活気づいていた。

「市」が生まれる瞬間である。オフィス街の路上販売は、まさに現代の「市」ではないか。

商いの始まりは、行商である。作ったもの・仕入れたものをお客さまの元へ売りに行く。行った先々がお店になる。店舗など持たなくても、商売が始められるのは魅力である。

多くの人が、商売を始めたいと思っているが、路上販売から始めれば、大きなリスクを背負わなくても良い。商いを学ぶ、修行の場にもなる。

いきなり店舗を持ちたがる人もいるが、失敗する人も多い。その借金を返すために、夢を捨ててしまうのは哀れである。小さなことから始めれば良い。

路上販売の店主たちは、眼が生き生きとしている。瞳の中に、夢が輝いている。そんな熱意が、羨ましくもあり、応援したくなる。

路上販売は文化。厳しい規制はやめて欲しい。

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2018年04月18日

ギャルの“おっさん化”が進化している。

若い女性の“おっさん化”が、さらに進化している。古くは、牛丼屋にひとりで入る女性から始まり、大型トラックのハンドルを握るガテン系、食堂でスタミナ定食を頼む肉食系女子まで、出現してきた。

個人的には“カッコいい”と思うのだが、世間ではまだ奇異な眼で見られている。女性の中でも、まだごく一部であることに違いはない。

女性自身もそういう世界に興味はあるものの、入り込む勇気はなく、また、心のどこかで女性らしさを求めてもいる。

そういう欲求を察知してか、“おっさんぽい”お店をお洒落に演出して、成功している例はある。

チェーン店の居酒屋などは、まさに象徴的存在。おっさんの溜まり場を明るくお洒落な空間に変え、料理の見ためも女性好みとなっている。

「会社帰りの“ちょっと一杯”」を「アフターワークの“女子会”」へと変身させている。やっていることは同じなのだが……。

最近では、「缶詰バー」というお店も流行っている。中高年の男性諸君はよくご存知だろう。いわゆる酒屋の立ち飲み屋である。カウンターでコップ酒を頼み、棚から缶詰を持ってきて食べる、あの立ち飲み屋の進化系が「缶詰バー」である。

内装はバー風となり、海外の珍しい缶詰なども揃え、キャッシュオンデリバリーで、ひとりひとり好きなものを飲み食いしている。

缶詰を肴に立ち飲みをする女性。これまで見ることもなかった光景が、お洒落に見えてしまうから不思議なものだ。

女性には、潜在的に男性社会への憧れがある。さりとて、女性を捨て去ることはしない。この2つの隙間に、新しいライフスタイル誕生のチャンスがある。すなわち、ビジネスチャンスである。

男臭い世界に女性を誘い込むには、どうすればいいのか? また、その逆もあり。そこに、大きな可能性が存在する。

posted by 佐藤きよあき at 08:54| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月11日

高知県から“かつお”が消える日。

高知県と言えば、まず思い浮かぶのが“かつおのたたき”。それ以外には……浮かばない。それほど“かつおのたたき”の印象が強いのか、それとも他には何もないのか。

よくよく考えてみると、四万十川や坂本龍馬、はりまや橋程度は浮かんでくる。だが、清流として有名な四万十川もどんなところなのかはあまり知らない。映像を見ることも少ない。PR不足なのか。

坂本龍馬像の建つ桂浜には行ったことがあるが、非常に小さな浜で、観光地と言うには力不足である。

はりまや橋は、「日本三大がっかり名所」のひとつと言われ、ハッキリ言うと“しょぼい”。

そう言えば、300年以上続いている「朝市」もあるが、日曜日しかやっていない。観光客も来ているが、圧倒的に地元の人が多い。

やはり、高知県は“かつおのたたき”しかないところなのである。高知県人には怒られるかもしればいが、唯一の観光資源なのではないか。

「他にももっと良い所はあるよ」と高知県人は言うだろうが、他所の人に知られていなければ、無いに等しい。

その大切な“かつお”が獲れなくなっている。最盛期の10分の1程度になっているという話もある。なぜ、こんなことになってしまったのか。

考えられる理由としては、「海水温の変動」と「他国によるフィリピン沖での乱獲」である。自然現象に文句を言っても仕方がないが、他国の乱獲は腹立たしいことだろう。

“かつお”は、フィリピン沖から黒潮にのって、日本近海へとやって来る。その源流とも言える場所で、大量に獲られてしまうのである。

だが、文句の言える筋合いではない。海は誰のものでもない。他国が新しい産業として“かつお”を獲り始めたことを中止させるわけにはいかない。産業として成り立っているのなら、今後もかつお漁をやめることはない。

また、海水温の変動も現在の地球環境を考えれば、元に戻るとは考えづらい。すなわち、これまで高知沖まで来ていた“かつお”の群れが、その姿を消してしまうことは、容易に想像できる。

「自然のことだから、どうなるかはわからない」と思いたいだろうが、その期待を持ち続けるのは危険である。

早く別の手を打たなければ、取り返しのつかないことになる。いま、考えなければならない。

“かつお”に代わる海産物。“かつおのたたき”に代わる観光資源を。

高知県は、人口の減少でもワースト4、5位をウロウロしている。観光ばかりではなく、地元の人が住み続けたくなる魅力づくりをも考えなければならない時である。

posted by 佐藤きよあき at 11:10| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月04日

生産者と消費者が直接繋がる。

牧場が営むステーキハウス。酒蔵が営む居酒屋。漁師の活け魚料理店。こうした直営店が増えている。大手メーカーも積極的に参入している。

この動きは、これまでほとんど直接的な繋がりが無かった、生産者と消費者が互いに引き寄せ合った結果である。消費者は、より新鮮なもの、安全なもの、本物を求め、生産者は、消費者の生の声を聞き、直接語り掛けたかったのである。

そしていま、問屋・卸しといった、流通のひとコマが不要になりつつある。裏を読めば、生産者と消費者が直接繋がることで、中間コストが無くなり、生産者は儲けが多くなり、消費者は安く買えるようになる。

大手スーパーなどは、生産者からの直接買いつけや自社農場などによって、この動きを加速させている。「メーカー直」は、ますます多くなるだろう。

辛子明太子のメーカー「やまや」はよく知られているが、ちょっとユニークな直営店を持っている。明太子を販売する店ではなく、もつ鍋屋である。ここでランチを食べる人は、やまやの辛子明太子が食べ放題となる。

「もつ鍋」という別業態を展開しているのだが、圧倒的なファンを確保している辛子明太子を食べ放題にすることで、これまでのファンを呼び込み、別業態を下支えしようとしている。

また、新規客を取り込みやすいランチで、食べ放題にすることで、宣伝効果も大きくなっている。確実にやまやの辛子明太子ファンを魅了する、ウマい戦術だと言える。

これも直営店の可能性のひとつである。直営ゆえに、あらゆるチャレンジが許される。

最近の事例で言えば、東京駅の「東京おかしランド」。ここでは、グリコの“できたて”チョコレートやカルビーの“揚げたて”ポテトチップスを買うことができる。これ以上の新鮮さは他に無い。話題性も十二分。たくさんの客が押し寄せている。

産直、メーカー直、生産者の顔……時代が求めるキーワード。生産者は、より良いモノを作るだけではなく、消費者にどう売っていくのかも考えなければならない。

posted by 佐藤きよあき at 09:04| Comment(0) | マーケティング裏読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする